同じフレーズを弾くことは悪いことですか?

もくじ
同じことをやるのが悪いと思っていませんか?
半年前から始めた受講生さんが、最近お知り合いの人から、「急激に変わったね。」と言われたとご報告を頂きました。
こちらの方は、経験者の方ですが、経験者の人はちょっとしたズレを修正するだけで、印象がガラリと変わります。
ちょっとしたズレだけなのに、ジャズって難しいと思ってしまったり、練習してもなかなか成長を感じられないことはよくありますよ。
ところで、同じフレーズを弾くこと、毎回同じことをやってしまうことを、問題のように言われる方が多いのですが、みなさんはどう思いますか?
これに関しては、どのシーンで自分が今やっているのか?が重要です。
例えば、ライブで20曲演奏するときに、全ての曲が同じジャンルで同じ構成で進むとなると・・・、聞いている側も演奏側も「飽きる」ということが想定されます。
こんな時は、気分転換を目的に、毎回違ったアプローチが必要だと私は思います。
一方で、アドリブ初心者の人が毎回同じようなフレーズを弾くことはどうでしょうか?
個人的には、始めたばかりだから、引き出しが少ないのは当然だよねと思います。
言葉を覚え始めた赤ちゃんに、もっといろいろな言葉を使って話してよ・・・と言ったところで、その期待に応えてくれるでしょうか?
いろいろな言葉を使わなくても、言葉を覚えたての赤ちゃんなら、1単語しか話せなくても魅力的だと私は思います。
同じことをやる価値
私が、アドリブ初心者だった頃、枯葉の次にThere is no greater loveという曲をレッスンでやったことがあります。
当時の先生は、枯葉もgreater loveも使う音は殆ど同じだから出来るよね、と言っていたのを今でもよく覚えています。
でも当時の私は、同じとは到底思えず、特にサビの箇所は本当に枯葉と同じコード進行なのに、全然違う曲としか思えなくて、枯葉でなんとなく歌えていたアドリブでも、greater loveでは、殆ど歌えない状態でした。
アドリブの研究をしていくうちに、私が出した結論は、アドリブ初心者はどんな曲がきても、コードを機械的に処理する力を養うことが大事だ、ということです。
私の体験談であれば、枯葉とgreater loveは、確かに違う曲ではあるのですが、同じ感覚で弾けることが、アドリブ脳を構築するのには必須です。
上手な人は、1曲を100曲のように聴かせることができますが、これはいろいろな体験や学習があってのことです。
なぜなら、クリエイターの力も必要なので、単なる奏者とは違うからです。
それよりも、100曲あっても1曲しか弾いていない感じになることが、アドリブ初心者にとっては簡単で必要な力です。
一番の問題は、同じことをやることが悪いのではなく、同じことをやることに罪悪感を抱くことなのです。
安定感を身につけよう
じゃあ、きっちり同じフレーズを移調して弾くことを練習するのか?と疑問がでるかもしれませんが、そういうことではありません。
同じ様なことをする力というのは、ある程度のパターンが出来上がって、面白くは無いかも知れないけど、安定感はあるという状態です。
ピアノは、伴奏としてサポートをすることも多く、この安定感というのは結構大事な能力だと思っています。
ちなみに、私が1日6時間弾いていた時は、「浅く広く満遍なく」を心がけてやっていたので、深掘りはしていません。
それよりも、先ずはどんな曲、どんな編成、どんな場所でも、同じように機械的にコードを処理することの方が、ピアノの役割がこなせます。
細かい深掘りは、その後で大丈夫なのです!
また、同じことをやってしまうのは、あなたの能力が低いからではありません。
脳は、同じことをやり続ける習性があるからです。
手癖と言われる物がそうですね。
もし、同じことを止めたいのであれば、手癖であればそれに気付いて、全く違うことを計画的に入れる必要があります。
ちなみに、同じ様なコード進行の曲でも、スピードが違うと別の曲のように感じたり、キーが変わると別の曲のように感じることがある場合は、アドリブ練習の仕方や、捉え方に課題があると推測されます。
ここは、レッスンでも実践を通して腑に落していく面白いところでもあります。
いかがでしたか?
同じフレーズばかりを弾くことは悪いことではありません。
もちろん、その人のステージや状況によりますので、是非見直してみて下さい。
アドリブに必要な知識と知恵はこちらにも書いています。
https://peraichi.com/landing_pages/view/5b3i0

アドリブ初心者の為の
ジャズピアノ&アドリブコーチ
音楽と成長の研究家
HSS型HSP気質(外向的かつ内向的なので、内面の拮抗に苦しみやすい気質)で、大きな失敗、大きな成功の両方を体験。
その結果、メンタルサポートを含めた、体系化されたジャズピアノのオンラインレッスンを2016年よりスタート。
自信は、音大経験無し、ジャズ研経験無し、ピアノブランク13年、30歳でコードを知る。
その後、8年くらいジャズピアノの実態が掴めず、右往左往するが、ある日突然ひらめきが起こり、何を何からやったら、誰でもジャズピアノが弾けるのかが分かり、1日6時間くらいの練習と研究に夢中になる。
更に、なぜ自分はジャズピアノが弾けるようになったのかが、心理学や脳科学の観点で説明が出来ることが判明。
自分のやってきた体験に価値があることが分かり、内面性と楽器熟達の関係について、レッスン、YouTube、ブロブ、メルマガで語っている。
同時に、会社員を退職後、人の内面性に興味を持ち、心理学、脳科学、スピリチュアルを45人以上の講師に学び、2017年より1児の母をしながらレッスンを開始。
オンラインレッスンでもゼロベースの初心者が、1年以内にリードシートのみで、セッションに参加できる体系的なジャズピアノメソッドを提供。
そこで気付いた、人に分かりやすく共感される説明力を活かし、演奏家ではなく人材育成、教材開発、コーチングを本業とする。
現在は国内外問わず、オンラインによるレッスン、講座、セミナーを提供し、分かりやすい、簡潔、との好評を得ている。
また、幼少期の頃は、外からの刺激に敏感なHSP(Highly Sensitive Person)気質に悩みながら、言いたいことが言えない時間を過ごす。
19歳から27歳までは、ピアノを弾かない、音楽も聴かない、音楽と疎遠な生活を送っていたところ、原因不明の体調不良を発症。
後に、人は本来の自分と違った姿をしていると、病気になるということが分かり、一生音楽と関わる人生を送ると決心する。